好きな気持ちが生きる糧

主に演劇の感想。橋本淳さん、矢崎広さん、井上芳雄さん、藤岡正明さんあたりが好きです。映画の感想は最近はFilmarksで完結しちゃってます。

ミュージカル『ミス・サイゴン』25周年公演

これも観たいな~と言いつつ観ずに時が経ってしまいました。
Amazonプライムビデオにて鑑賞。


ミス・サイゴン


スタッフ

監督:ブレット・サリバン
製作:キャメロン・マッキントッシュ
脚本:アラン・ブーブリル、クロード=ミシェル・シェーンベルク
歌詞:アラン・ブーブリル、リチャード・モルトビー・Jr.
追加歌詞:マイケル・マーラー
音楽:クロード=ミシェル・シェーンベルク



キャスト

ジョン・ジョン・ブリオネス、エバ・ノブルザダ、アリスタ・ブラマー、タムシン・キャロル、ヒュー・メイナード、ホン・グァンホ、レイシェル・アン・ゴー
ジョナサン・プライス 、レア・サロンガ、サイモン・ボウマン


作品紹介

1989年9月のロンドン・ウエストエンドでの初演以来、世界中で上演されてきた名作ミュージカル「ミス・サイゴン」の25周年記念公演を、最新技術で映像化してスクリーン上映。2014年9月、ロンドンのプリンス・エドワード・シアターで上演された舞台を収録。1970年代、ベトナム戦争末期。爆撃で両親を亡くしサイゴンのナイトクラブで働くことになった少女キムは、客として店にやって来たアメリカ兵クリスと恋に落ち永遠の愛を誓い合う。しかしサイゴンが陥落するとクリスはアメリカへ帰還し、過去を振り払うように結婚して新たな人生を歩みはじめる。一方、キムはバンコクへ逃れ、クリスとの間に生まれた息子を育てていた。やがて、息子の存在を知ったクリスは、キムと再会するべくバンコクへ渡るが……。25周年スペシャルフィナーレの特別ゲストとして、オリジナルキャストのジョナサン・プライス(エンジニア役)やレア・サロンガ(キム役)、サイモン・ボウマン(クリス役)らも登場し、新旧キャストが夢の共演を果たした。(映画.comより)

eiga.com







感想


この作品は元ネタが『蝶々夫人』。
というわけで結末は知れているかとは思いますが、一応。※ネタバレ注意











私の『ミス・サイゴン』との出会いは、『レ・ミゼラブル』にはまった数年前。
レア・サロンガの虜になり、オリジナルロンドンキャストのCDを聞きまくっていました。

ミス・サイゴン <ミュージカル> ― オリジナル・サウンドトラック

ミス・サイゴン <ミュージカル> ― オリジナル・サウンドトラック

それから日本公演をやっと観れたのが、2017年の年明け。
(余談ですが、2012年公演の時、悩んだ末行かなかったのいまだに後悔してる。新妻さん……あれが最後だと思わなかった)
kk151992.hatenablog.com
もうこの感想で何を書いたか覚えてません(笑)
が、今の印象として残っていることは、①藤岡正明さんのトゥイが凄過ぎたこと ②号泣したこと ③でも物語自体は好きじゃないこと

ミス・サイゴン』は音楽は大好きです。
感動もすごくします。
でも、好きかと言われると……。
なんでかと言うと結局のところ、腹が立つからだと思います。そしてラストのキムの決断も、ああするしかなかったとしても、私には……。



さて、今回ロンドンキャストの公演を観たわけですが、上記の「感動するし泣きまくるけど、好きじゃない」印象は変わりませんでした。いや……でももしかしてこれも好きなのか?もうこの物語に対しては複雑な気持ちでいっぱいです私。

ただやっぱり凄かったですね。
ハイレベルだし、舞台セットもお金かかってそうな感じ(笑)



今回観てて改めて痛感したのは、キムとクリスの恋は悲劇に終わったけれど、彼らは決して彼らにしかない特別な恋をしていたわけじゃない、ということ。
あの頃あの社会で、キムのような人はたくさんいて、クリスのような人もたくさんいたわけです。
すっごい腹立つな!!!!
タムのような子も、エンジニアのような人も。悲しく辛い世界。
その悲劇性を見せる作品なのですけれども。

もうね、クリス本当嫌いです。置いて去るのは仕方がない。あれは仕方がなかったけど、後で迎えに来いよ!来れないなら来れないで、なんとかして一報よこせよ!!
当時の社会状況全然知らないので、こんなこと言うのはお門違いかもしれない。どのような手段も使えなかったのかもしれない。
でもね、クリスはアメリカに戻って、少しして結婚してるけど、全然彼がキムのために何かをしようとした描写がないじゃないですか。苦しんで、悪夢を見て。ただ良心が責められているだけ。
だから私は認定する。クリスは最低野郎だと。

この悲劇は、キムが少女で処女で、クリスが初めての人で、そんな純粋な子だったから、より悲しい物語となってしまった。
これが辛酸なめつくした大人の恋ならば、また違ったでしょう。でもキムは純粋すぎた。疑うことを知らず、ただクリスだけを愛し、クリスもどんなに離れていてもずっと自分を想ってくれていると信じてしまった。





ところでエンジニアとキムって謎の関係ですよね。利害が一致していると言えるのだろうか……。いわば協力関係だし。
今作ラストの方、エンジニアはキムに対してかなり情が移っているように見えました。








キャストについて。

私ははっきり言ってクリスが好きじゃない。いや、クリスはいつも嫌いだけどそうではなくて、この25周年ロンドンキャストのクリス役の人の歌声が好きじゃない。
最近ロンドンとかあとアメリカか。英語圏の若いミュージカル俳優さん、この人みたいな感じの歌声をけっこう聞きますけど、私この手の声はタイプじゃないんです。

ついでに言えば、キム役の彼女の声もちょっと苦手かな……。作品の中で聞くにはいいけど、CDとかで歌だけ何回も聞きたいタイプじゃない。ただ彼女はすごく上手かったし、キムという役にもぴったりはまっていたと思います。

それからエンジニア!だいたいこの役は芸達者な人がやるよね~と思って観ていました。

個人的にはトゥイ役の人が一番好き!歌めちゃめちゃ上手かった。演技も。間違った方向に走ってしまったし、ほぼストーカーみたいになってるけど、でも間違いなくキムのこと好きだったんだなあと思わされました。トゥイが死ぬとき、キムの手を握ってるのすごく泣けるよね。
前述した藤岡さんのことも思い出し、この役はめっちゃ上手い人がやるポジションなんだろうか?とか思った(笑)





本編が終わると、豪華なゲストたち。
レア様は昔の方が好きだけど、やっぱりすごいな。
そして今回のクリスより、サイモン・ボウマンの方が声が断然好きだと再確認。
そしてジョナサン・プライス……!出てきてテンション上がった。プライスさん目が潤んでいるように見えました。こんなに年取ったのに、たいして声が衰えてないのすごいわ。さすがに動きはしんどそうだったけど。








なんだかんだ言って、ミス・サイゴンも、いつかは本場ロンドンで観てみたい作品のひとつですね。

とりあえずいつかは分からないけど、次の日本公演も、なんだかんだ言って行くと思います。
藤岡さんか昆夏美ちゃんがいたら、確実に行きます(笑)





ミス・サイゴン <ミュージカル> ― オリジナル・サウンドトラック

ミス・サイゴン <ミュージカル> ― オリジナル・サウンドトラック




follow us in feedly






『メイズ・ランナー 最期の迷宮』 トーマス・サングスターファンによるトーマス・サングスターの感想

とても久しぶりに、ここで映画の感想書きます。
なぜならネタバレありで、大好きなトーマス・サングスターについて語りたいからです(笑)
でも内容の感想もちゃんと書く……と最初は思っていたのですが、サングスターのこと書いただけで力尽きたので、このタイトルになりました(笑)



メイズ・ランナー 最期の迷宮』


スタッフ

監督: ウェス・ボール
原作: ジェームズ・ダシュナー
脚本: T・S・ノーリン
音楽: ジョン・パエザーノ


キャスト

ディラン・オブライエン、カヤ・スコデラーリオ、トーマス・ブロディ=サングスター、キー・ホン・リー、ロサ・サラザールジャンカルロ・エスポジート、ナタリー・エマニュエル、エイダン・ギレンウォルトン・ゴギンズバリー・ペッパー、ウィル・ポールター、パトリシア・クラークソン、デクスター・ダーデン、ジェイコブ・ロフランド、キャサリンマクナマラ



作品紹介

ジェームズ・ダシュナー原作の同名小説を映画化し、難攻不落の巨大迷宮に挑む若者たちの運命を描いたサバイバルアクション「メイズ・ランナー」のシリーズ完結編となる第3作。巨大迷宮から脱出するために3年もの歳月を費やしたトーマスと仲間たちだったが、謎は深まるばかり。捕らわれた仲間ミンホを救い出すため、そして自分たちが閉じ込められた理由を突き止めるために、彼らは決死の覚悟で伝説の迷宮に逆侵入することを決意する。そんな彼らの前に、謎の組織「WCKD」が立ちはだかり……。キャストには同シリーズでブレイクしたディラン・オブライエンをはじめ、「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」のカヤ・スコデラーリオ、「ラブ・アクチュアリー」のトーマス・ブロディ=サングスター、「アリタ バトル・エンジェル」のロサ・サラザールら、おなじみのメンバーが集結。前2作も手がけたウェス・ボール監督が引き続きメガホンをとる。
(映画.comより)






感想

まずはネタバレなしで。

私は1作目はけっこう面白かったけれど2作目はダメだったので、正直もう3作目もずっと期待はしていませんでした。

でもトーマス・サングスターファンだし、2作目まで観たんだから一応完結まで見届けるか……てな感じで。
それが公開前、サングスター(いつもはトーマスと呼んでるんですが、このシリーズに限っては主役と混ざってややこしいので、サングスターでいきます(笑))べた褒めのコラム記事を読み、更に公開されたら私のTwitterのタイムラインは、意外にも好評価だらけ。そしてニュートへの叫びが溢れている(笑)
なんかね、期待しちゃうようになりますよね。


ということで、ワクワクしながら行ってきました。

結果、確かにけっこう面白かったです。2作目で落ちたのが残念。でも持ち直して良かった。
私もしかしたらシリーズ中一番好きかも……。

今作はまさに「アクション超大作」といった感じ。なかなかに派手で見応えがあって、2時間半くらいの長さでも飽きなかったです。これは映画館で観ておきたいやつ。
IMAXで観たいかも。


ちょこちょこ「ん?」というツッコミが心にはあるし、都合良い所もある気がしますが、それでもまあ綺麗にまとめましたね。

展開的には意外性があるわけでもなく、割と読める感じではありますが。
それでも面白かった。
ツボに入ったら号泣するのではないかと。私は意外にも泣かなかったけど(笑)
なかなかに胸熱、そして悲しい物語。でも希望がある。
良かったです。



で、サングスターファンとしては、彼の演技ね。もう素晴らしかったですよ。何気にこういう演技初めて見たかも。
1、2作目観てた時は、クールでカッコいいし、まあ割と好きなキャラクターだなーとは思っていたのですが、それだけで。それが今作で、思いっきり心を掴まれました。もう頭から離れません。
詳細はネタバレありで後述します。




シリーズ過去作観てるなら、やっぱりこの最終作は映画館で観た方がいいかもしれません。
シリーズ中一番、映画館で観たら映える作品になっていると思います。
アクション映画好きな人にもオススメしたい。








※以下ネタバレありです。

ほぼキャストのことしか話していません。





まずはトーマス・サングスターについて。
前述したコラム記事がこちら。
『ラブ・アクチュアリー』の子役がイケメンに!友達思いすぎる姿に泣ける - シネマトゥデイ

自己保身は一切せずに命をかけて友人を守る彼の鬼気迫る形相は、アカデミー賞ものの演技です。その悲壮感さえ漂うたたずまいに、心をわしづかみにされることは間違いありません。

ね、べた褒めでしょ?
こんなのファンとしては気になりまくりですよね。どんな演技を見せてくれるんだって。

で、いざ公開されたら、Twitterでもニュート、サングスターへの叫びを見るわけですよ。
更に期待は高まります。


そして実際に観てみたら。確かに素晴らしかった……。
というかもう私、嬉しくて。こんなサングスターの演技が見れたことが。

子役からでキャリアは長いし、元々演技は上手い人です。知ってる。
でも今作でのニュートは久々に、「うわー上手いなぁ……」って改めて実感した。
あんな迫力ある演技、初めて見た、かも。

あの苦しみよう。
最後の理性を保ちながら、凄まじい形相でトーマスにペンダントを渡す。
そしてクランクに。振り返ったあの目付き。
最期のトーマスとの戦い。狂気に支配され暴れながらも、理性と狂気の狭間で揺れ動く。
悲しみと、仲間への愛が溢れている。

すごく良かった……。

最期はクランクでなく、ニュートとして逝った。「トミー」と一声だけ呼びかけて。


中盤の、トーマスに詰め寄るシーンも。ミンホの心配、自分の状況と、余裕を失くしたニュートの心境がすごく観てる側に迫ってくる。


ああ、こんなサングスターの演技が見たかった……素晴らしいありがとう……ニュート役やってくれてありがとう……キャスティングしてくれた人もありがとう……
と、心の中でひたすら感謝を述べ、拝み倒していました。
何回も言うけど、すごく嬉しかったの、こんな演技を見せてくれたことが。

本当にありがとう……。



ラストもちょっとこみ上げてきそうになりました。
手紙は……胸にきますね。
「友達になってくれてありがとう」と。

ニュートすごく良い人。本当にトーマス達、仲間が大切だったんですね。

上記のコラム記事の中で

3作を通じてニュートを演じたトーマスは、「ニュートにとって重要なのは友達だけ」と断言。「彼らはニュートにとって家族同然。記憶を失う前、ニュートにはおそらく家族や友人がいただろうが、いまニュートが唯一しがみつくのは、彼が信じて気にかけるこの友達だけなんだ」とニュートの心情を代弁しています。

とありますね。
記憶をなくして、いたであろう家族の思い出もなく、だからメイズに来て以降の友達が家族そのものだった。そうなったのはニュートだけではないけれど。

だから、仲間への思いがあんなに強かった。他に大事な人はいないから。
彼らの仲間意識の裏に、「他には大事な人がいない」というのがあると思うと、すごく悲しい……。

冷静に考えると、本当に彼ら可哀想だな……。




とりあえず、この演技が見れたことがあまりにも嬉しくて、このサングスターの演技のためだけでも、もう一度観に行こうかと思ってるくらいです。



ところでこれだけ言っといて、観てる時泣きはしなかったんですけど、むしろ観てる時より後からの方がじわじわときています。
もうずーっと頭に焼き付いてます。ニュートが。思い出して、むしろ今泣きそう。







そしてギャリー。ウィル・ポールターも少し語りたい。
サングスターと共に、もう1人の私が好きなキャスト。

ウィルも子役の時から半端なく演技が上手くて、ただ顔立ちのせいか憎らしい役柄が多かったんですよね。つい最近の『デトロイト』はまた凄まじかったですよねー。
それが今作のギャリー……すごくかっこいいじゃないか(笑)

そもそも今作のキャストに名前があって、1作目で死んだのにどういう形での出演だ?と思ってたんですけど、普通に出てきましたよね。生きてたパターンね。

素晴らしくかっこよく、活躍してくれた。
助けてくれた。

でも1作目から、私はギャリーは憎みきれなかったんですけどね。別にウィルが演じてるからってわけではなく(笑)
今作で仲間になって活躍してくれて、こっちもまた嬉しいです。






ところで私の疑問メモ。
・列車からいつの間にミンホは連れ去られたのか
・ニュートの感染時はいつ?噛まれた?空気感染?(手の感じから見るに噛まれてはないかな……)

もう一度じっくり観たらわかるかな……それとも細かいことはあまり気にしない方がいいかな(笑)1作目でも思ったことあったし(笑)







トーマス・サングスターファンは絶対観た方が良いですよ。言われなくても観てるでしょうけど。


サングスターの演技への興奮度が高すぎて、ほぼ内容のことが語れていない感想になってしまいました。
作品自体にも思ってることは色々あるのですが、なんせまとまらないし、もう書けない(笑)
2回目を落ち着いて観れて、かつ気力があれば、もう少しちゃんとした感想記事を書きたいなと思います。

というわけで、今回はおしまい。









follow us in feedly



より残酷に 2017年版『人間風車』感想

人間風車』は初演は観れてませんが、2003年版はDVD鑑賞しています。
それとの比較になるかな。
今回は大阪公演観に行こうか散々迷って結局行かなかったんですよね。
矢崎さんも出てるし、何よりオチが違うというのがかなり気になって、DVD購入。


人間風車


2017/9/28~10/9 東京芸術劇場プレイハウス ほか

スタッフ

作:後藤ひろひと
演出:河原雅彦

キャスト

成河、ミムラ、加藤 諒、矢崎 広、松田 凌、今野浩喜、菊池明明、川村紗也、山本圭祐、小松利昌、佐藤真弓、堀部圭亮良知真次


作品紹介

売れない童話作家の平川が披露する奇想天外な童話に、近所の子供たちは大はしゃぎ。けれども、童話の登場人物や題名はレスラーの名前、テーマも"三流大学出身より高卒の方がまし" だから、子供の親からはクレームばかり。
 公園に集まる子供たちの中には、へんてこ童話の主人公になりきって現れる奇妙な青年・サムがいた。
 ある日、平川はひょんなことからTVタレントのアキラと知り合う。その出会いは平川の作風にも大きな変化をもたらしていくのだが…
(公式より)


www.parco-play.com





感想

盛大にネタバレありです。未鑑賞でこれから観る予定のある方は、読まないことを強く勧めます。








私は演出家のG2さんがけっこう好きです。
前の2003年版はG2さん演出だったけれど、でも今回はG2さんじゃないこっちの2017年版の方が好きかも!?

今回の演出家は、2003年版でサム役を演じた河原雅彦さん。
この方の演出観るの初めてかな、と思ってたらあれだ、矢崎さん主演の『黒いハンカチーフ』の演出この人だわ。あれ面白かったですよ。
kk151992.hatenablog.com






内容は当然ながら基本一緒です。
演出、演技は全体的に今回の方がテンション高め。そして舞台装置が立派…!(笑)



主要の役者も私は今回の方が個人的に好みかな。
作家の成河さんやサムの加藤くん。
おまけに小杉の矢崎さん。矢崎さんについてはいつもながら語りたいので、後述します(笑)

サムはね…正直前の河原さんの演技、好きじゃなかったんですよ。オーバーでくどいというか。加藤くんはルックスが濃いんだけど(笑)、演技自体はそこまでくどくもなく、幼さがぴったりで、断然こっちの方が好み。

で、作家の入江雅人さんはまあ良いけど、やっぱり成河さんの方が好み。入江さんの時は思わなかったんですけど、今回の成河さんの作家は、すごく「子どものまま大人になってしまった」感が強かったんですよ。それが良い。サムは事故によって知能が子どものまま止まってしまったけれど、作家はまたサムとは違って、でも同じ、「子どものまま」なんだなあ……と。そういう印象を強く受けました。
子どものままだから、人を簡単に信用してしまう。そして裏切られる。可哀想。
でもすごく今回思ったんですけど、小杉がゲスすぎて、こいつはどう考えても友達じゃねーだろ、っていう(笑)まあ小杉のことは流石に友達とは思ってなかったでしょうが。
成河さんはめっちゃ芸達者ですよね。超上手いと思います。

アキラは悩む。ミムラさんも良かったけど、前の永作博美の演技とだいぶ似ていると思います。似せてる?こういう演技指導?初演観てないからわからないですけど、最初からアキラはこういう風になってるんでしょうか。
でも永作さんに比べてミムラさんのアキラの方がなんだか子どもっぽい感じあったな。



で、矢崎さん。もうね、感動しました私。嫌な奴の演技、上手すぎる。あまりにこれがハマりすぎていて、いつも抱いている「好青年」イメージの矢崎さんってどんなだったっけ?と頭をひねりましたもん。いや素晴らしい。もともと私、たいていの好きな俳優には「悪役やってほしい」と思う人間なんですけど、矢崎さんもこんなの見たら、もっとたくさん悪役やってほしいと思う。
でも考えたら前からこの素質の片りんは見えていたんですね。私ファン歴浅いのでそんなに出演作観れてませんけど、そんな私が個人的に一番良かった矢崎さんの演技って、『宮本武蔵(完全版)』の佐々木小次郎役ですもん。あれも素晴らしかった。一見人懐こくて好青年な、最低な奴。
そうかー、嫌な役上手いんだな!
もう恐れ入りました。最低で最高。

ところで劇中劇でも嫌な奴の役なのはウケました。ケビンは嫌な奴とはまあ違うか?
あと地味に殺陣が嬉しかったです。上手いな。

思ってたんですけど、例えばドラマ『相棒』や『特捜9』なんかの刑事ものに、悪役でゲスト出演してほしいですね。私が好きなだけですけど(笑)でも実際ゲストに舞台俳優さん出てること多いし。
同情の余地がある可哀想な犯人ではなく、もう最低最悪の人間を演じてほしいです。
いや別にドラマじゃなくても、舞台でも。なんでも。極悪非道の役、いやー観たいですねー!

私の中の「お気に入り矢崎さん演技」トップ3くらいにランクインしました。







で、オチが2003年版と違うんですけど。
ところで初演と2003年版は同じなんですか?初演は生瀬勝久&阿部サダヲだから絶対凄いだろ、と思って、いつかは観たいんですが。

2017年版は、何よりアキラが死ぬのが衝撃でした。マジかよ……って思った。
この時点で残虐度アップ。
中身はいわば「作家の作った殺人鬼ビルに取り憑かれてる」ようなもんなわけですけど、やってるのはサムですからね。姉を殺してしまった……。

しかも2003年版では、サムがアキラを殺そうとするところを、作家が「翼の生えた少年」ダニーの話をして、サムは死に、アキラは助かるじゃないですか。
ダニーが飛び降りるとき。何故翼を開かないのか、というサムの問いに、2017年版では作家が「ダニーがそう決めたから」と答えるんですけど、2003年版ではこの返事をするのはアキラなんですよね。いわば、アキラも作家の物語に手を貸すわけです。サムの死に。二人は協力関係となる。悲しみは底なしだけれど、これ以外道はないとわかって。ここの永作博美はすごく良かった……。

つまり2003年版では作家とアキラが結果的には協力して、サムを死に至らしめるわけなんですけど、でも2017年版は、ここに至る前にアキラは既に殺されている。アキラと作家の関係はその前の最悪なディナーのままで、そしてアキラははっきりと弟に何が起こったのかわからないまま、弟に殺されるというわけで。
作家にはより大きな責任が、そしてアキラは完璧な被害者となっている。
2003年版と2017年版の大きな違いとして、アキラが死ぬか生き残るかだけでなく、それによって付随してくるアキラの作品上での立場が大きく変わってますね。




そして一番のオチ。
2003年版では、この事件の後も、何年も後も、作家はずっと同じように、公園で子どもたちに物語を聞かせ続けています。
アキラとの関係は当然修復はされていないだろうけど、作家はひとり平穏な人生を送っているわけです。

ここを落としてきたのが2017年版。
事件の後もうここにはいられないと去ろうとする作家に、電話がかかってきます。
ビルから。
彼自身が作り出した、不死の殺人鬼から。
サムは最後ビルから解放され、ダニーとなって死ぬわけですから、ビルは宙に浮いてしまってる状態。そこに目を付けた変更ですね。
これによってファンタジー色がより強くなってますね。サムがただ作家の物語を演じていたわけではなく、そのキャラクターはもう独自で存在してしまっていると。
この作家に救いを与えないラスト、けっこう好きです。

でも私が脚本家や演出家なら!ここの変更は、この更に後、作家自身をビルにしたいです(笑)
作家がビルに乗っ取られたとこで終わらせたい、とか思って観ていました(笑)





というわけで、まあ個人の好みですが、私は全体的に2017年版の方が良かった!
でも感想でよく見かけていた「鬱作品」とまでは思わなかったですね。確かにかなり暗い結果にはなっていますが。
私はそこまでこの暗さを引きずるような感じではないです。
でも面白かった。


次にまた上演がある時は、どんな物語になっているでしょうね。





人間風車 2000年版 [DVD]

人間風車 2000年版 [DVD]

人間風車 2003年版 [DVD]

人間風車 2003年版 [DVD]






follow us in feedly