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我が人生は物語と共に

映画や演劇の感想など。エンタメと文学をこよなく愛します。

人生は、歌うこと。『ジャージー・ボーイズ』

ミュージカル 舞台 洋画 音楽

ジャージー・ボーイズ』"Jersey Boys"


2014年/アメリカ
監督:クリント・イーストウッド
脚本:マーシャル・ブリックマン、リック・エリス
ミュージカル版台本:マーシャル・ブリックマン、リック・エリス
作詞:ボブ・クルー
作曲:ボブ・ゴーディオ
出演:ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、ビンセント・ピアッツァ、クリストファー・ウォーケン、マイク・ドイル、レネー・マリーノ、エリカ・ピッチニーニ、ジョセフ・ルッソ、ドニー・ケア、キャサリン・ナルドゥッチ


作品紹介(映画.com)

ミリオンダラー・ベイビー」「グラン・トリノ」の名匠クリント・イーストウッド監督が、1960年代に世界的な人気を誇った伝説の米ポップスグループ「ザ・フォー・シーズンズ」と、そのリードボーカルを務めたフランキー・バリの代表曲として知られる「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」の誕生秘話を描いたドラマ。2006年トニー賞でミュージカル作品賞を含む4部門を受賞した、人気ブロードウェイミュージカルを映画化した。アメリカ東部ニュージャージー州の貧しい町に生まれた4人の若者たち。金もコネもない者が町から逃げ出すには、軍隊に入るかギャングになるしかなかったが、彼らには類まれな美声と曲作りの才能があった。4人は息の合った完璧なハーモニーを武器に、スターダムを駆けあがっていく。ミュージカル版にも主演し、トニー賞でミュージカル男優賞を受賞したジョン・ロイド・ヤングが、映画版でも主演を務めた。






感想

日本版『ジャージー・ボーイズ』が上演ということで、映画を久しぶりに再鑑賞。
kk151992.hatenablog.com
ちなみに日本版は悩んだ末両バージョン観に行くことにしました・・・(笑) (チケットが取れたらの話)



私にはよくあることですが、初鑑賞より良かった。



夢を目指しての努力、運、そして成功と崩壊・・・。

有名になったら皆同じようなルートをたどるのだろうか。

夢がかなうまで、その時が一番皆が一丸となっており、中心には音楽だけがあった。
成功して幸せなのもつかの間、仲間割れ、金銭問題、家庭崩壊・・・。
成功してかつプライベートも幸せになることは難しい。



正直、やりきれない。
この映画を観て、感動する反面、「だから何?」という気持ちもある。

音楽を目指して、夢を追って、ようやくつかんだ栄光。
その代償に、失うものは大きい。
この失ったものと引き換えにするほど価値のあるものを、彼らは得られたのだろうか。

分かっている。それは私が決めることではない。

ただ、音楽だけがあった。それを追い求めてきた結果が、これだ。良いことも悪いこともすべてひっくるめて。

人生って、そんなものだ。


彼らは決して不幸だっただけではないと。この波乱万丈の人生を受け入れていると、クライマックスを見てそう思った。

皆、良い顔をしていて、素敵だった。






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やんわりネタバレあり





トミー、ニックがフランキーの恩人であることは間違いない。
トミーは本当にごろつきのようなのに、そしてグループを崩壊に導いた直接の原因も彼なのに………。
物語初めの方、トミーとニックがひたすらフランキーの歌を特訓し、声を大事にしているのを見てなんか感慨深かった。
そりゃあ、フランキーはトミーを完全に見捨てることなどできまい……と言いたいけど、あの借金を無視しなかったのは、恩があるからプラス、やはりフランキーが本質的に「良い人」であったからだろうなと思う。そして、憎むと言いつつ、トミーに対する仲間意識は確かにあったのだろうと。

そもそもトミーとフランキーの関係を友人と言っていいのかも微妙なところだけど、2人には2人にしか分からない情があったんだろう。



一番共感したのはニックかな。
才能あるメンバーに囲まれて、自分は影が薄く、ないがしろにされて……。同情する。でも脱退したのは彼にとって良かったんだろう。きっと家族と過ごせたのだろうから。



グループの成功に貢献したのは途中参加のボブ。
この作曲センスがなかったら、ここまで爆発的に売れたかどうか。
お坊ちゃんっぽくて、自分の才能に絶対の自信を持っている様子がよく見えた。

ボブが初めて曲を披露する。"Cry for Me"。
このシーンは大好きだ。
三人が自然と順々に歌に加わっていって、初めてこの四人の音楽が生まれる瞬間。
四人の運命が変わる瞬間だ。



フランキーは「良い人」だと書いたけど、彼もやっぱり人間だ。
人を傷つけもするし、傷つけられもする。

フランキー役のジョン・ロイド・ヤングは舞台で同じ役を務めた方だが、この人の歌声には本当驚かされる。
そっくりだよ、フランキーと。
というかこの声どっから出てくるんだ。
こういうファルセットの歌声は私の好みではないんだけど、物語が進むにつれて、演技とあいまってどんどん引き込まれていき、もう抜け出せなくなる。

ハイライトはやはり"Can't Take My Eyes Off You"だろうか。
娘を失い、失意に暮れる彼がボブに渡された新曲。
初めてステージで披露したときの彼の歌い方には、ラブソング以上のものが感じられ、もう涙が止まらなかった。



そしてエンディング。
1990年にロックの殿堂入りを果たし、メンバー四人が再度集まる。
そして四人がそれぞれの思い、その後を語る。



「あの時、他のことは消え失せて、音楽だけがあった」


「前に進む。あの頃に戻るために」



音楽が、音楽だけが全てだった。

フランキーにとって、歌うことが、人生だった。

失われた日々と、得た日々。フランキーの言葉を聞きながら、切ない気持ちにもなったけど、でも彼らの表情を見て、その気持ちは晴れる。





フィナーレ。
映画らしからぬ、舞台らしいフィナーレ。
フラッシュモブのよう。

オリジナル舞台そのままの終わり方なんだろうか。

映画でこのフィナーレにしてくれたイーストウッドに感謝する。













日本版舞台観てきました。