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我が人生は物語と共に

映画や演劇の感想など。エンタメと文学をこよなく愛します。

「創造する心を抹殺せよ!」観劇『DNA-SHARAKU』

急遽チケットを取ってシアターBRAVAへ。
1月31日昼公演、『DNA-SHARAKU』。
一番のお目当ては新妻聖子さん。
それから中川晃教さん、藤岡正明さん、小関裕太くん、イッセー尾形さん、ナオト・インティライミも。
豪華なキャスティングですな。歌手から若手、ベテラン俳優から、ミュージカル俳優まで。

二階D列、上手より。後ろが通路でなかなかリラックス出来た。


『DNA-SHARAKU』


出演: ナオト・インティライミ、小関裕太、新妻聖子、坂元健児、田野優花ミッツ・マングローブ藤岡正明、Spi、大野幸人、Miz朝海ひかる中川晃教イッセー尾形
原案: 冲方丁
演出・脚本・作詞: 小林香
音楽: 井上ヨシマサ
映像: 齋藤精一



作品紹介(公式)

2116年、人工知能が支配する日本。そこでは「創造する心」が否定されていた。

感情の高ぶりは同時に争いも生み出す恐れがあるため、社会を不安定にさせる───

人工知能はそう判断し、「創造する心」を忌み嫌っていたのだ。
人工知能の判断に従って、未来政府は日本人の持つ豊かな「創造する心」を根絶やしにするため、タイムトラベルで過去に遡り、歴史上の優れた芸術家や文化人など、強い「創造する心」を持つ人物を2116年に連行し、彼らの「創造する心」を破壊する行為を繰り返していた。

そんな中、人工知能が必死に探していたアーティストがいた。その名は、東洲斎写楽

江戸・寛政年間に、活動わずか10か月で歴史の闇に消えた謎の天才浮世絵師である。
写楽を探そうとする人工知能は、二人の青年を追手として選び出す。

2016年に生きる柊 健二(ナオト・インティライミ)と2045年に生きる結城 連(小関裕太)だ。

1793年に送り込まれた二人。そこで彼等が出会ったのは、幕府の出版統制や文化弾圧と戦いながらも「面白いこと」を追求する江戸の人々だった。
やがて二人は「創造する心」を守るため、未来政府と戦うことを決意する。

時空を越えた冒険の最後に、彼等が出会う未来とは……

http://www.dna-sharaku.com/






感想

まあまあかな!(笑)

すごーく面白いわけではないけど、つまらなくはない。

途中これはちょっとイマイチかも……と思ったりもしたけど、ラストでは感動して少し泣いちゃったし。

「人間の創造する心」を消し去ろうとする悪役と、それに抵抗しようとする主役たち、「芸術が人間には必要である」というテーマ自体は目新しいものではないし。

とは言え、そういうテーマが語られるというのは、やはり皆が芸術の必要性を感じていて、さらにはそれがないがしろにされてきているのでは……と現代社会に危機を覚えているのかもしれないね。
芸術を制約しようとする人間がいるのは、まあ今も昔も決して架空の話ではないから。

舞台ならではの魅せ方というものがあるけれど、これは小説で出してくれたら是非とも読んでみたいと思った。





キャスト感想

連は見ていてなんとなく感情的な場面が多い。
台詞を叫ぶシーンも多いのだが、小関くんはどことなく舌足らずで聞き取りにくい面も少し。
しかし、演技が特別上手いとは思わなかったけど、でもなんだろ?なかなか良かった。存在感あるし。応援したくなる。
連は感情的になりがちだけど一生懸命だしね。
あと歌も特別上手いわけではないけど、柔らかで良い歌声してる。好きなタイプ。



ナオト・インティライミ?上手い。テレビで聞いてたより上手い。こんな声だったんだーと。良い声だわ。
意外にもというと失礼かもしれないけど、演技も上手い。ファンなりそう。
健二もなんとも飄々として優しくて、歌が大好きで、魅力的なキャラクター。



田野優花ちゃん、AKBらしいけどよく伸びる歌声でなかなかの声量。好印象。
演技はちょっとオーバーな面もあったかな……でも全体的に良し。いやー歌声にはびっくり。



新妻聖子さん、藤岡正明さん、坂元健児さん、中川晃教さん、朝海ひかるさんあたりはもう言うことなし。好き嫌いはあるかもしれないけど、さすが現代日本を代表するミュージカルスター達。歌も演技も安定。
いや本当素晴らしい……。やっと新妻さんの生歌が聴けて幸せです。
藤岡さんの声ど迫力だったし。中川さんのキャラ大嫌いだけど、ラスト素晴らしすぎたし。『ジャージー・ボーイズ』楽しみすぎますな。



Spiさん、この人もなかなか歌うまだったが、ごめんなさい、めっちゃイケメンってばかり思ってました(笑)



Mizさん、おかめめっちゃ迫力!と思って聴いてたんだけど、歌手なんですね。このおかめの男勝りなキャラが良く、歌の迫力と合ってた。




イッセー尾形さん!超大物が!
流石というべきか、演技が上手すぎる。存在感バリバリ。
歌は貴重です。




メインキャラ揃っての歌が何曲かあったんですけど、どれもこれも本当に迫力が凄くてですね。
圧倒された。





カーテンコールで新妻さんと中川さんがなんか仲良さ気に話してて気になる。
一番最後のカーテンコールでの新妻さんと小関くんの間にどんなやり取りがあったのかも気になる(笑)


てかスタオベにキャスト陣びっくりしてましたけど、まさか初めてだったんですかね。









以下覚えてることを軽くレポ。内容に触れます。








第一幕

メインキャラクターの時代は4つ
写楽がいる1793年、現代の2016年、ちょっと未来の2045年、DNA-SHARAKU抹殺命令が出ている2116年。

現代人のメインキャラクターは主役の健二(ナオト・インティライミ)のみ。
観客にとってはもちろん彼が一番近しい存在。

2116年に生きる、DNA-SHARAKUを持つがそれを母によって隠されている、どこか少女のようなハル(新妻聖子)。

2045年で絵を描く若者、連(小関裕太)と幼馴染のれもん(田野優花)。

1973年で皆は花魁の小紫(朝海ひかる)、その恋人伊兵衞(Spi)、役者の十郎兵衛(藤岡正明)、ひょっとこ(大野幸人)やおかめ(Miz)、十三郎(イッセー尾形)と出会う。




"DNA-SHARAKU"とは、"想像する心"である。

国内戦争を防ぎ、日本を守るため、政府が打ち立てた政策が、想像する心を抹殺すること。

正体不明の絵師、東洲斎写楽を探し回る政府の人工知能、サイ。
サイに人間の感情を通訳できるのは総裁(坂元健児)のみ。
政府は想像する心=DNA-SHARAKUを持つものを捕まえ、そのDNAを消しているが、写楽が見つからない。
写楽を捕らえるため選ばれたのが、主役の二人、健二と連である。
二人ともDNA-SHARAKUの持ち主。健二は歌、連は絵。



「僕の居場所は絵の中だけさ」
と歌う連。友人はれもんのみ。絵以外には何もない、孤独な青年と見られる。




ハルはDNA-SHARAKUの持ち主だが、政府には隠されている。
母が研究者として働いており、データ操作をして娘を守った。
母自身もDNA-SHARAKUの持ち主だが、そのDNAを研究するため見逃されている。

健二と出会ったハル。
登場人物中、この物語で一番世界が開けたのはハルかも。

健二の歌を知っていたハル。
「春の歌」



サイと取引し、自分の絵を残すため写楽を引き渡そうとしていた連。
写楽を守ろうとしていた健二。
最初の時点では、二人の立場は同じながらも、取ろうとする行動は真逆。



絵を描いていた十郎兵衛の筆使いを見て、彼を写楽だと思った連は、十郎兵衛を政府に渡す。しかし十郎兵衛と写楽の絵は10%も一致せず。



十三郎が言う「写楽は十郎兵衛だ」と。そして更に続ける「写楽はここにいる皆だ」

写楽の最初の絵を、皆で描く。

時代を超えて集まった彼ら。
政府が、人工知能がこのような政策をたて、健二や連を1973年に送らなければ、写楽は生まれなかった?
タイムトラベルものを見ている時に私の脳内に起こる混乱(笑)タイムパラドックスってやつ?




総裁より、いかにも悪役だったのが在人(中川晃教)。
皆を追い回して、バッサバッサ人を殺していくんだけど。
厨二病こじらせたような言動………こういうキャラ、私大っ嫌いなんだよね!!!
ドン引きしすぎてしまって。




第一幕は、皆で写楽第一作の絵を描いているところで終わる。

大合唱。
キャストの前に降りている透けたスクリーン。
それに映し出される、筆から飛び散る墨と絵の具。








第二幕


DNA-SHARAKUを隠していたので、歌の才能がありながはも歌が歌えなかったハル。
ソロが少ない……と嘆いていた私、二幕でハルの歌唱が増えて喜ぶ。



残された時間があと3日、はやく何か考えないと、と焦る連。

健二に言う、
「あんたらの時代の人がちゃんと考えなかったから、後の俺たち皆が苦しんでいる」
その台詞はなんか耳が痛い。私たち皆に言っているんだろうか。




ナオト・インティライミ新妻聖子のデュエット、めっちゃ良い!!!




しかしここまでで思った。例えば私は、DNA-SHARAKUを持っていない。何も創造できない。
そのことに対して急に芽生える罪悪感。
それに対する答えは作品の最後に示してくれるのだが。





小紫との会話で、自分の居場所は絵の中だけではないと気づかされる連。良いシーンだ。
最初の連のソロ曲のリプライズがある。
小紫の絵を描く連。
それを見て、辛そうなれもん。切ない恋心が発覚。





ひょっとこの死。
ここのおかめの歌が素晴らしくて、ちょっと泣く。





いよいよ決戦という前日、皆思い思いの夜を過ごす。

健二はハルに、歌が出来たと伝える。「春の歌」は「ハルの歌」に。

れもんが連に、現代に戻ったら「私の絵も描いてよ!」と言う。
連の「そうだね」という返事がなんとも優しげ。
何これかわいい。




考え出した案は、人工知能サイを説得すること。

健二の歌を歌うハルから始まり、小紫とダンサーのダンス、二次元アイドルとコラボ?な優花ちゃんととミッツマングローブ、そしてアクロバティックに絵を描く連。

ハルの歌のとき、銃で在人に狙われたハルを庇って、伊兵衛が死亡。


第一幕ラストとかもだけど、全員の歌(ダンス)は本当にすごく迫力がある。





ところでこの舞台は真っ白な衣装のダンサーが踊るダンスシーンがちょくちょくあったんですよ。これどういう意味の表現なんだろうなー。何かの比喩かな。衣装は未来人のよう。





皆の説得のための表現、ステージが終わり、サイが人々の感情をスキャン。総裁に、これは何かと尋ねる。
総裁「これがDNA-SHARAKUの力です」

サイは結論を出す。
「見ている者も心の中で創造している」
「人間は皆DNA-SHARAKUを持っている」
皆が持っているものを有効活用するため、DNA-SHARAKU抹殺を取り消す。

この結論により、DNA-SHARAKUは無くならず、また国内戦争も避けられる。




この結論にショックを受けたのは在人。
本当にこのキャラクター嫌いなんですけど・・・。このラスト・ソング素晴らしい。素晴らしすぎる。圧倒された。
一気に、全編通して最も印象深いシーンのひとつとなる。
己のことを「人に在らず」と歌って自殺した。




連が総裁に問いかける。「何故DNA-SHARAKUを消しても消しても抹殺することが出来なかったか」
それは、「最初の絵がずっとここにあったからだ」

この首相官邸の鳥居に火をつけると、鳥居いっぱいに絵が現れる。皆で第一幕の最後に描いた、写楽の第一作が。
桜が。この桜を見てまた感動。
総裁が、守っていたことになるね、と。





皆で描いたこの最初の一作以降の写楽は、やはり十郎兵衛ということになるのかな?






健二とハルは淡い恋愛っぽいからどうなるかと思ったけど、皆潔くそれぞれの時代に帰っていく。



過去も未来も、繋がっているから。














人々が創造してくれる世界を楽しめることに、また、そんな世界であることに、感謝したい。
いつまでも芸術が生き残りますように。