我が人生は物語と共に

映画や演劇の感想など。エンタメと文学をこよなく愛します。

『キネマと恋人』感想。映画という夢を愛すること。

『キネマと恋人』


@梅田芸術劇場シアタードラマシティ
2016年12月8日 昼公演
10列40番



世田谷パブリックシアター+KERA・MAP#007 『キネマと恋人』 | 主催 | 世田谷パブリックシアター


スタッフ

台本・演出: ケラリーノ・サンドロヴィッチ

キャスト

妻夫木聡
緒川たまき
ともさかりえ
三上市朗
佐藤誓
橋本淳
尾方宣久
廣川三憲
村岡希美
崎山莉奈
王下貴司
仁科幸
北川結
片山敦郎


内容紹介(公式HPより)

概要_senden_0707_fix small世田谷パブリックシアターが、KERAとタッグを組んでお届けするのは、シアタートラムの小さな空間での、ひとつひとつを大切に紡ぐ、手作り感覚いっぱいの作品。
『キネマと恋人』は、ウディ・アレン監督の映画「カイロの紫のバラ」にインスパイアされた舞台である。
設定を日本の架空の港町に置き換えて、もう少しだけややこしい展開にすると――。
映画への愛あふれる、ロマンティックでファンタジックなコメディが、息づきはじめる。

感想

結末ネタバレしてます。






タイトル、Twitterでの評判、ポスターもろもろに惹かれて観に行きました。
評判良くて、何となく私これ好きだろうなぁという直感があって、とても期待値高め。
私も、映画が大好きだから。





良かったです。
色々な感情が、じわじわとくる。
余韻。



夢と現実が交わって、幸せなふわふわした気持ちになりつつも、ああ、私が焦がれているのは夢なんだなぁと、思い知らされながら観ていました。


そして結局二人が一緒になることのなかったラスト。

あのラストで、夢と現実の分断をはっきり見せてくる。



でもそもそも、映画というものはそうなのかも。演劇作品も。
夢の形を取って、現実を見せてくる。



私も映画が何よりの心の支えで、映画が私を救ってくれていた頃があった。

作り話としか思えない甘い物語も、現実をそのまま映し出したような苦い物語も、全てが私の心を捉えていた。



良い夢だけが夢じゃない。





この作品は、映画の登場人物がスクリーンから飛び出てきて、自分を慕っていると言ってくれる。
挙句演じている俳優とも出会い、その人にも好きだと言われる。
スクリーンの中にも連れて行かれる。
本当に夢のようで、そしてそれはいっときの夢のまま終わる。





映画の主役と脇役の二人が、俳優本人同士は仲が悪いという設定も考えるものがある。
映画の中では主役はその脇役を慕いまくってるのに。

同じ姿でも、映画と現実は違うものなんだと。





やっぱり私が愛するものは、夢の中の世界なんだなぁと。



でもそれを実感したからと言ってガッカリするわけじゃない。
ただちょっと胸が苦しくなったけど、でも夢は夢であるから、焦がれてるんだ。









さて、映画『怒り』に引き続き、妻夫木聡の株がかなり上がりました私。
『怒り』観るまで全然見たことなかったんですけどね、この人……ただのイケメンじゃなかった。

すごく上手い。
映画の中の寅蔵のキャラクターは生き生きとただ明るく輝いていて、彼の現実の俳優である高木は、やはり現実の苦さを纏っている。
過去の役をハルコと語っているときは、その役に合わせた雰囲気や声の変わりようにぞくっとした。
実際に妻夫木聡の映画を色々観てみたいなと思った。





と、妻夫木聡に割と良い意味でショックを受けていた私ですが、全体的にどの人もこの人も上手い。

緒川たまきさんの佇まいなんてねぇ。別人でしょう。
ともさかりえも。懐かしの金田一しか知らんから。

あとは三上市朗と緒方宣久がちょっと気になった。


それから橋本淳くん。『ちりとてちん』が大好きで、たまたまチラッと見た『軍師官兵衛』のちょい役もすごく良かった。
彼もやっぱり上手い。私好みの演技をしてくる。あと彼の持つ雰囲気が好き。
嫌な役者っぷりも良かったです(笑)半次郎も可愛かった。
橋本くんは『ちりとてちん』がきっかけで映像から舞台にシフトしたそうですが。なんとなく、演劇が似合うなぁと思った。それに、芝居を愛してるんだろうなぁと勝手に思ってる。末長く、これからもっとたくさん良い作品に出演してくれるんだろうな。
スタイル良くてシルエットがかっこいい。






舞台装置や演出は、舞台ならではのすごく素敵なものを見たなぁという感じ。
オープニングクレジットの素晴らしいこと。
ダンサーの使い方もすごい。






パンフレットがめっちゃ素敵。読み応えもある。







色々と、自分や映画や演劇や、夢と現実について、思い巡らせた作品でした。



それから、古い映画や俳優の知識はあった方が楽しい。
だから映画好きは有利だと思う。

オープニングの無声映画。ワクワクした。私でも知ってる、有名なサイレントのあのシーン。



今作も、観ながら何回か涙が出ました。もちろん、悲しくてじゃない。



コメディ要素が多くて楽しかった。
笑った。






ハルコは映画が大好きで大好きで。
私も一緒。









DVD化されます。
私やハルコと同じように、映画や演劇や、夢に焦がれる方は、是非。







ところで私、映画好きを自称する割には、元ネタの『カイロの紫のバラ』観てません(笑)
ウディ・アレン全然観てないかも……。






あ、この作品のポスター。パンフレットも。
ペーパームーンですね。